


社台グループ内の比較
まずはシンプルな牧場成績を頭に入れましょうかね。特に断り書きがない場合は、2歳〜3歳6月までのデータです(ダービー以降の成績も約1ヵ月分含まれちゃってますが)。
前回も書いたけど、イメージよりずっと「ノーザン>>>>>白老>社台>追分」だということ。これが絶対的なベース。2番手以下はどんぐり。頭数比でみると社台は白老に劣るが、白老は育成がばらつくのであまり気にせず、育成ノーザンだったら検討対象にすればいいと思う。下河辺も千代田も厳しいが、追分もかなり厳しい。
POG本だと社台グループは早来、空港、社台、追分の4章に分かれていますが、だらっと平等に読んだらダメ。そもそも追分は、生産頭数がかなり少ないし。写真掲載が一番多いGallop「丸ごとPOG」のページ数と掲載頭数を数えてみた。
ノーザン早来:12ページ / 50頭
ノーザン空港:7ページ / 30頭
社台ファーム:11ページ / 66頭
追分ファーム:6ページ / 24頭
ノーザン80頭:社台66頭:追分24頭。一つ上、3歳の登録総数がノーザン435:社台326:追分57。掲載率はノーザン18.4%:社台20.2%:追分42.1%なのだ。期間内の出走頭数でも、ノーザンは追分の8.5倍。社台は追分の7.3倍だ。そりゃー、走らない馬もたくさん混じるってもんです。
そもそもの勝率がノーザン50%:社台35%:追分27%なのに加え、これだけ厳選率(もちろん紹介している馬=走る可能性が高いオススメ馬という前提)が違うんだから、POG本を見るときにはかなり差をつけて読むべし、である。つい同列に読んじゃう人、ご注意を。
もう少しだけ社台全体の話を。上位で争奪戦になるディープインパクト産駒だが、社台グループ内での格差は無視できないほど広がっている。ディープインパクトの全体平均は勝ち上がり率53.9%、1頭当たり賞金1481万円。ディープ自体は大変に優秀なのだが、これに対し、社台と追分はこんな成績だ。
ノーザン以外で重賞を勝ったのは、サトノアレス(朝日杯FS)、ヴァンキッシュラン(青葉賞)、シェーングランツ(アルテミスS)の3頭だけである。2016年産はカレンブーケドールがオークスで激走するなど健闘したが、なかなか厳しい。
ノーザンファーム以外のディープインパクトは、(上位では)獲る必要がない。少なくとも、他の種牡馬に対する優位性は乏しいと言ってよいだろう。育成の専門的な話はわからんけど、数字でPOGやるなら社台や追分のディープは疑ってかかるのが定石。今年は母コンテスティッド(ギベオン全弟)と母キャンディネバダ(アルゼンチン×角居厩舎×サトミHC)に興味があったけど、上位では行かない方針なので獲られました。要経過観察ですな。
ノーザン以外はハイリスクローリターン。承知したうえで、ロマンをどうぞー。
ノーザンファーム指名方針
①空港>早来(とくに佐々木と大木)
②厩舎+馬主(勝ち上がり率+重賞・OP勝数)
③母年齢12歳まで
④血統:母南米 / 兄姉素質馬 / 牝系優秀 / ディープに固執しない
⑤牝馬はわからんので少数精鋭(牡4 : 牝1)
個人的な優先は「空港>早来」。そして佐々木(R1)と大木(S1)を最優先に。R1はスワーヴリチャード、S1はワグネリアンに続いてロジャーバローズでお付き合い。レイデオロからダービー3連覇!という物凄い成績です。
今年のR1はアルジャンナ(牡・母コンドコマンド)、ラインベック(牡・母アパパネ)、フィリオアレグロ(牡・母ジョコンダ2)、S1はアルベロベッロ(牡・母ウィンターコスモス)、アリストテレス(牡・母ブルーダイアモンド)を指名しました。楽しみです。
そうそう。POG厨が崇める勝己帝王の2ページ(丸ごとPOG)は、あたしも大切にチェック。リストには必ず「K」マークをつけてます。以上、各要素を分析するにあたっての「ノーザンファームの基礎講座」でした。
ノーザン以外での厩舎成績
まずはノーザンか否かは関係なく、純粋な厩舎成績。例によって2歳から3歳6月まで、過去5世代が対象。ノーザンファームでの獲得賞金順にソートしています(育成していても外国産馬や他牧場生産馬は含まれません。含めたいけど)。
友道、池江、藤沢和のビッグ3。普通ですねー。シンプルな目安になる1頭当たり1000万超えは9厩舎がクリア。参考までに、ノーザン以外の成績を先に挙げておくが、藤沢和だけがノーザン以外でも高いレベルを維持している(母スタセリタ姉妹が押し上げている面はある)。
友道、藤原英、角居が辛うじて1000万をクリア。逆に国枝、須貝、木村、手塚あたりはノーザン以外だと凡庸な成績で、露出も多いので要注意だ。須貝厩舎は相性が良く、今年もゴールドシップ枠でサトノゴールド(牡・母マイジェン)を指名したが、厳しい数字ですなー。藤原英と角居はノーザンを含む成績と大きな変化がなく、藤沢和を含めた3厩舎だけが、ノーザン以外の検討対象になるという考え方もできる。
藤原英にはエポカドーロ、ギベオン。角居はサトノワルキューレにヴァンキッシュラン、ワイドファラオ。ノーザン育成だがロジャーバローズなど。藤沢和はタワーオブロンドンやサトノアレスがいる。今の勢いが続けば、来年はゴドルフィン軍団も見ていくことになるのかな。
ノーザンファーム×厩舎
POGは総賞金で競うゲームなので、見るべきは「1頭あたり獲得賞金」。あとは年間を通じての精神衛生的に「勝ち上がり率」を押さえる(但しこれには「未デビュー馬」は含まれないので注意)。
全体では、藤沢和、友道、堀がトップ3で、次点に勝ち上がり率が物足りないが池江。以下は中内田、国枝、角居、音無あたりまでが上位評価になる。まあ想定内でしょう。
1頭あたり獲得賞金が高くてもサンプルが少ない厩舎は、1頭で上げている場合が多いので注意が必要だ。田村のメジャーエンブレム、松永幹のラッキーライラックなど。小島茂は母ブラックエンブレムの仔が大きく数字を伸ばしているが、これは逆に指名すればよい(もう遅いか?)。
次に牡牝で見てみよう。ちなみにPOGにおける牡牝の差は、全馬平均で、勝ち上がり〔牡30.9%>牝21.5%〕、1頭当たり賞金〔牡544万円>牝359万円〕です。東西トレセン比較も合わせて見ると、こんな感じになる。これも基礎情報なので頭に入れておきたい。
極端な話をすると、「ノーザンファームの栗東牡馬」と、「他牧場の美浦牝馬」を指名するのとでは、勝ち上がる可能性56.5%対17.4%、獲得賞金1590万円対260万円。他牧場産を指名するのは自由だが、最初から確率に大きなハンデがあるということだ。リアル馬主ではそうはいかないが、POGで勝つためには徹底したい。趣味の指名は1割か、多くても2割のイメージで!
一方で東西比較。縮まっているとはいえ栗東>美浦は変わらない。但しノーザン牝馬だけが勝ち上がり率、1頭当たり賞金ともに逆転しているのは注目しておきたい。
続いては、世間の3倍を稼ぐノーザン牡馬編です。
牡馬は池江を加えたトップ4に、角居と、サンプルは少ないが増えてくるであろう中内田までが6強。預託頭数も多い友道が総合力では際立つ。藤沢和は平均的に走っているが重賞は2つだけで牝馬上位。堀はドゥラメンテが引き上げている面がある。
ダメなほう。矢作、木村、高野、池添学あたりは頭数的にも物足りないが、若手は牝馬が多くなるので仕方ない面もあるか。本来の厩舎力を考えると、藤原英の無風ぶりが気になる。今年はカイザーライン(牡・母アヴェンチュラ)に期待しているが、大丈夫か? 下位指名向きは、ほとんど勝ち上がっていて賞金も及第点の齋藤誠かな。もうちょいサンプルほしいが。
牝馬は様相一変。藤沢和が抜けて優秀、1強である(但し10頭しかサンプルがない)。昨年はグランアレグリアにコントラチェック、今年はモーベット(母アイムユアーズ)、母ピラミマ(グループ①で指名)、母ステファニーズキトゥン、母ヒルダズパッション(グループ②でピラミマを獲られて指名)という四天王がいるから凄い。
ほかは、上にも書いたがラッキーライラック、メジャーエンブレム、アエロリットなど1頭で数字を伸ばしている厩舎が多い。国枝もアーモンドアイがいる割には突出せずで、牝馬を当てるのは難しいということになる。以前は牡馬のイメージだった矢作が健闘しているのと、今後という意味ではバゴ産駒のクロノジェネシスで結果を出した斉藤崇に注目。
牝馬で結果が出ないのは、堀、須貝、手塚、高野。頭数がそれなりにいて(もしくは人気になって)この数字。堀は堅いと評判だった昨年のミディオーサでもダメだった。若手で期待されている木村、池添学、奥村武も厳しい数字で、伸びるかどうかこの2〜3年で決まりそうだ。藤原英は牝馬も散々。ノーザンとは合わないのか? 注目馬は多いが、結果が出るまで静観でもよいだろう。
次回はノーザンファーム×馬主編ですー(´Θ` )

