All eyes on Japan’s Almond Eye ドバイでの輝き|アーモンドアイとの4年間(4)
彼女のキャリアでいちばん華やかなものはドバイかもしれません。JCの世界レコード樹立から厩舎、クラブ、牧場が一体となり世界を制しようとTeam Almond Eyeが結成され、海外の大レース、まずはドバイから勝ち名乗りを挙げていこう、という壮大なプランが立てられました。クラブのツアーにJackと参加しました。また、会社の酔狂な先輩が単身ドバイまで来て、競馬場で合流しました。ドバイ・・・砂漠に創った人工の街。なんかディズニーシーみたいでしたよ。
到着の翌日かレースの2、3日前に国枝先生やルメさん、厩舎スタッフも交えてのウエルカムパーティー。その席上でのお話です。二人の担当の助手さんは、一人が先乗りして受け入れ態勢を整え、もう一人が馬と一緒にドバイ入りしたそうです。「着いたばかりの彼女はとてもぐったりした感じでしたが、あっという間に現地環境に慣れ、僕(助手さん)の方がバテちゃって・・・」と笑っておりました。そして、レース前日、様子を見に行った二人のクラブスタッフが、「あれ、明日がレースだって分かっているね~」と。それまでリラックスしていた様子だったアーモンドアイが「明日はやっちゃいますからね!」とばかりに気合を乗せていたとのこと。「周囲の人間の雰囲気なのか、調教のルーティンなのか、何かを感じ取っていたに違いないよね」というお話でした。ルメールジョッキーが長めをしっかり乗ると、3日くらいで本番と覚えているのかもしれません。ルメさんが常々言ってた「頭が良い!」馬なのですね。
そして当日の朝、宿泊していたホテルに置かれていた朝刊が一斉に無くなりました。一般紙のスポーツ面、“All eyes on Japan’s Almond Eye”全面見出しの全面写真。ツアー参加のみんながお土産にしたのです。その朝刊全体で2番目に大きな写真でした。1番目はドバイミーティング自体の全面広告。ですから実質、一番大きな扱いです。英語版もアラビア語版も同様で「(競馬紙でもスポーツ紙でもなく、一般紙なのに)すごい扱いだ!」とびっくりしました。
ドバイミーティングはほぼ全部がG1レース。一つのレースが終わると、ターフビジョンには表彰式の様子が映され、それから短時間パドック、そして本馬場入りしたレース前の各馬の様子、となります。ところが第7レース、ドバイターフだけは違いました。6レースの表彰式が映された後、ターフビジョンではその三分の一を使って、どこかで観た光景。水色に赤い丸点の勝負服、そうシルクの馬が外から飛んでくる様子、桜花賞です。次の三分の一にオークス、最後の三分の一に秋華賞のゴール前が映し出されます。そしてトリプルティアラの後、ビジョン全体を使って、JCのゴール前が! 競馬場全体が、ドバイミーティング全てがアーモンドアイのためにあるかのような演出でした。大大感動!
レースはブルーの勝負服ゴドルフィンの3頭が「いつでも包んで潰してやる」といった構えで進みましたが、ルメールジョッキーがうまく外に誘導し、影響を受けないように運びます。直線馬なりで先頭に立つと後はもう。国枝先生がレース前に仰っていた通りのレース運びで、最後は「わたし、もう勝っちゃたわよね」と流したのでした。馬上でインタビューを受けながら戻って来たルメさんが、私とJackと目が合ったときに「Thank you for coming!」と答えてくれました。これも大感動。表彰式もルメールコール、国枝コール、米本代表に向かっての社長コールと大騒ぎ。その一方で、レース後の馬をケアするように、と吉田勝己さんが先頭に立って指示を出しておりました。例の熱中症みたいな症状を心配していたのです。
ツアー参加の皆さんで席に戻ってくると、優勝を祝うシャンパンまで用意されておりました。私は後ろの席にいた、イギリスから来たという酔っ払いオバちゃんにからまれてまいりました。「アスコットで会おうぜ~~」と叫んでいましたよ。
成田空港に預けておいた新車のデミオ2206=アーモンドアイ号のナビは、2時間くらい以上運転し続けたり、センターラインをまたぐ警報を何度も出してしまうと「そろそろ少し休みませんか」と優しく警告を発してくれます。自宅への帰途、走り出して20分くらい、まだ東関道の本線に出たくらいで警告が出てしまいました。ドバイから帰りもほぼ12時間。帰りの運転はさぞかしフラフラしていたんですね。
このドバイターフ勝利、遠征ツアーは、死んでも忘れられない1週間となるでしょう。
PREV 3. 2勝したJC
NEXT 5. 10口馬主の優越感と懊悩
彼女のキャリアでいちばん華やかなものはドバイかもしれません。JCの世界レコード樹立から厩舎、クラブ、牧場が一体となり世界を制しようとTeam Almond Eyeが結成され、海外の大レース、まずはドバイから勝ち名乗りを挙げていこう、という壮大なプランが立てられました。クラブのツアーにJackと参加しました。また、会社の酔狂な先輩が単身ドバイまで来て、競馬場で合流しました。ドバイ・・・砂漠に創った人工の街。なんかディズニーシーみたいでしたよ。
到着の翌日かレースの2、3日前に国枝先生やルメさん、厩舎スタッフも交えてのウエルカムパーティー。その席上でのお話です。二人の担当の助手さんは、一人が先乗りして受け入れ態勢を整え、もう一人が馬と一緒にドバイ入りしたそうです。「着いたばかりの彼女はとてもぐったりした感じでしたが、あっという間に現地環境に慣れ、僕(助手さん)の方がバテちゃって・・・」と笑っておりました。そして、レース前日、様子を見に行った二人のクラブスタッフが、「あれ、明日がレースだって分かっているね~」と。それまでリラックスしていた様子だったアーモンドアイが「明日はやっちゃいますからね!」とばかりに気合を乗せていたとのこと。「周囲の人間の雰囲気なのか、調教のルーティンなのか、何かを感じ取っていたに違いないよね」というお話でした。ルメールジョッキーが長めをしっかり乗ると、3日くらいで本番と覚えているのかもしれません。ルメさんが常々言ってた「頭が良い!」馬なのですね。
そして当日の朝、宿泊していたホテルに置かれていた朝刊が一斉に無くなりました。一般紙のスポーツ面、“All eyes on Japan’s Almond Eye”全面見出しの全面写真。ツアー参加のみんながお土産にしたのです。その朝刊全体で2番目に大きな写真でした。1番目はドバイミーティング自体の全面広告。ですから実質、一番大きな扱いです。英語版もアラビア語版も同様で「(競馬紙でもスポーツ紙でもなく、一般紙なのに)すごい扱いだ!」とびっくりしました。
ドバイミーティングはほぼ全部がG1レース。一つのレースが終わると、ターフビジョンには表彰式の様子が映され、それから短時間パドック、そして本馬場入りしたレース前の各馬の様子、となります。ところが第7レース、ドバイターフだけは違いました。6レースの表彰式が映された後、ターフビジョンではその三分の一を使って、どこかで観た光景。水色に赤い丸点の勝負服、そうシルクの馬が外から飛んでくる様子、桜花賞です。次の三分の一にオークス、最後の三分の一に秋華賞のゴール前が映し出されます。そしてトリプルティアラの後、ビジョン全体を使って、JCのゴール前が! 競馬場全体が、ドバイミーティング全てがアーモンドアイのためにあるかのような演出でした。大大感動!
レースはブルーの勝負服ゴドルフィンの3頭が「いつでも包んで潰してやる」といった構えで進みましたが、ルメールジョッキーがうまく外に誘導し、影響を受けないように運びます。直線馬なりで先頭に立つと後はもう。国枝先生がレース前に仰っていた通りのレース運びで、最後は「わたし、もう勝っちゃたわよね」と流したのでした。馬上でインタビューを受けながら戻って来たルメさんが、私とJackと目が合ったときに「Thank you for coming!」と答えてくれました。これも大感動。表彰式もルメールコール、国枝コール、米本代表に向かっての社長コールと大騒ぎ。その一方で、レース後の馬をケアするように、と吉田勝己さんが先頭に立って指示を出しておりました。例の熱中症みたいな症状を心配していたのです。
ツアー参加の皆さんで席に戻ってくると、優勝を祝うシャンパンまで用意されておりました。私は後ろの席にいた、イギリスから来たという酔っ払いオバちゃんにからまれてまいりました。「アスコットで会おうぜ~~」と叫んでいましたよ。
成田空港に預けておいた新車のデミオ2206=アーモンドアイ号のナビは、2時間くらい以上運転し続けたり、センターラインをまたぐ警報を何度も出してしまうと「そろそろ少し休みませんか」と優しく警告を発してくれます。自宅への帰途、走り出して20分くらい、まだ東関道の本線に出たくらいで警告が出てしまいました。ドバイから帰りもほぼ12時間。帰りの運転はさぞかしフラフラしていたんですね。
このドバイターフ勝利、遠征ツアーは、死んでも忘れられない1週間となるでしょう。
PREV 3. 2勝したJC
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彼女のキャリアでいちばん華やかなものはドバイかもしれません。JCの世界レコード樹立から厩舎、クラブ、牧場が一体となり世界を制しようとTeam Almond Eyeが結成され、海外の大レース、まずはドバイから勝ち名乗りを挙げていこう、という壮大なプランが立てられました。クラブのツアーにJackと参加しました。また、会社の酔狂な先輩が単身ドバイまで来て、競馬場で合流しました。ドバイ・・・砂漠に創った人工の街。なんかディズニーシーみたいでしたよ。
到着の翌日かレースの2、3日前に国枝先生やルメさん、厩舎スタッフも交えてのウエルカムパーティー。その席上でのお話です。二人の担当の助手さんは、一人が先乗りして受け入れ態勢を整え、もう一人が馬と一緒にドバイ入りしたそうです。「着いたばかりの彼女はとてもぐったりした感じでしたが、あっという間に現地環境に慣れ、僕(助手さん)の方がバテちゃって・・・」と笑っておりました。そして、レース前日、様子を見に行った二人のクラブスタッフが、「あれ、明日がレースだって分かっているね~」と。それまでリラックスしていた様子だったアーモンドアイが「明日はやっちゃいますからね!」とばかりに気合を乗せていたとのこと。「周囲の人間の雰囲気なのか、調教のルーティンなのか、何かを感じ取っていたに違いないよね」というお話でした。ルメールジョッキーが長めをしっかり乗ると、3日くらいで本番と覚えているのかもしれません。ルメさんが常々言ってた「頭が良い!」馬なのですね。
そして当日の朝、宿泊していたホテルに置かれていた朝刊が一斉に無くなりました。一般紙のスポーツ面、“All eyes on Japan’s Almond Eye”全面見出しの全面写真。ツアー参加のみんながお土産にしたのです。その朝刊全体で2番目に大きな写真でした。1番目はドバイミーティング自体の全面広告。ですから実質、一番大きな扱いです。英語版もアラビア語版も同様で「(競馬紙でもスポーツ紙でもなく、一般紙なのに)すごい扱いだ!」とびっくりしました。
ドバイミーティングはほぼ全部がG1レース。一つのレースが終わると、ターフビジョンには表彰式の様子が映され、それから短時間パドック、そして本馬場入りしたレース前の各馬の様子、となります。ところが第7レース、ドバイターフだけは違いました。6レースの表彰式が映された後、ターフビジョンではその三分の一を使って、どこかで観た光景。水色に赤い丸点の勝負服、そうシルクの馬が外から飛んでくる様子、桜花賞です。次の三分の一にオークス、最後の三分の一に秋華賞のゴール前が映し出されます。そしてトリプルティアラの後、ビジョン全体を使って、JCのゴール前が! 競馬場全体が、ドバイミーティング全てがアーモンドアイのためにあるかのような演出でした。大大感動!
レースはブルーの勝負服ゴドルフィンの3頭が「いつでも包んで潰してやる」といった構えで進みましたが、ルメールジョッキーがうまく外に誘導し、影響を受けないように運びます。直線馬なりで先頭に立つと後はもう。国枝先生がレース前に仰っていた通りのレース運びで、最後は「わたし、もう勝っちゃたわよね」と流したのでした。馬上でインタビューを受けながら戻って来たルメさんが、私とJackと目が合ったときに「Thank you for coming!」と答えてくれました。これも大感動。表彰式もルメールコール、国枝コール、米本代表に向かっての社長コールと大騒ぎ。その一方で、レース後の馬をケアするように、と吉田勝己さんが先頭に立って指示を出しておりました。例の熱中症みたいな症状を心配していたのです。
ツアー参加の皆さんで席に戻ってくると、優勝を祝うシャンパンまで用意されておりました。私は後ろの席にいた、イギリスから来たという酔っ払いオバちゃんにからまれてまいりました。「アスコットで会おうぜ~~」と叫んでいましたよ。
成田空港に預けておいた新車のデミオ2206=アーモンドアイ号のナビは、2時間くらい以上運転し続けたり、センターラインをまたぐ警報を何度も出してしまうと「そろそろ少し休みませんか」と優しく警告を発してくれます。自宅への帰途、走り出して20分くらい、まだ東関道の本線に出たくらいで警告が出てしまいました。ドバイから帰りもほぼ12時間。帰りの運転はさぞかしフラフラしていたんですね。
このドバイターフ勝利、遠征ツアーは、死んでも忘れられない1週間となるでしょう。
PREV 3. 2勝したJC
NEXT 5. 10口馬主の優越感と懊悩